南仏昆虫記

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初アフリカ;カメルーン(オオツノドロバチ;Synagris cornuta)

憧れの地、アフリカに行ってきた。アフリカは前から行きたかった場所で、実は私が南仏への移住を決めた大きな理由の一つが、アフリカに近いからアフリカに行くこともできるだろうと思ったこと。しかし南仏からでもアフリカ旅行はかなりの高額で、その夢はかなわなかった。今回昆虫写真家の海野さんが撮影旅行を企画されるということで、もう、この機会をのがしたらアフリカには行けないかもしれない、と思い、お金をかき集め、有給を確保して参加した。アフリカ専門旅行会社の道祖神さんと海野さんのおかげで、大きなトラブルなく、快適に初アフリカを満喫できた。写真も沢山撮影したので、何回かにわけてお届けしよう。

その初回を飾るのが、なんといっても今回の旅行で一番感動したドロバチの仲間。上の写真を見ていただきたい、普通のハチでは見られない大きな大きな角があるのがお分かりになると思う。普通のオオアゴとして使用されるのは、細く下にでているオオアゴだろうが、それよりも長く前方につき出した角がある。凄い、最高に恰好良いドロバチと思う。これはSynagrisというドロバチの仲間で、Synagris cornutaかな、と思う。和名にするならオオツノドロバチといったところか。

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大きな角はオスの特徴で、メスにはこのような角はない(上の写真は巣作り中のメス)。角の用途については不明だが、オス同士の喧嘩に使われるのかもしれない。

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角の長さはいろいろで、上の写真よりもずっと短い角を持つオスもいた(上の写真)。並べて比べたわけではないが、このオスも体格自体はそれほど小さいという印象は受けなかった。オスが喧嘩するのであればそれも見てみたかったが、短期旅行では難しい。

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巣は土で造られ、その形や大きさは日本のエントツドロバチと良く似ていて、巣の出入り口には、メスがいて巣を守っている場合が多い。滞在していたホテルの壁や天井に巣が沢山あったので、そのいくつかをあけてみた。

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その結果、全く空の巣(メスがいたので試用中なのは確実)、卵だけ入っていた巣、ぷっくり太った幼虫が入っていた巣があった。どの巣も入り口から仕切りはなく、煙突状の出入り口を通じて外とつながっている。これは何を意味するのだろうか。空の巣は、恐らくは単に巣を造ったばかりと言うことだろう。卵だけの巣があったのだから、獲物を狩るより先に卵を産むのだろう。卵はどこからつり下げられているという感じではなく、巣の底に転がっていたが、これは巣を壁から剥がす時に落ちてしまった可能性もある。そして幼虫。巣を開けた時には食事中であった。既にしぼんでしまった獲物は鱗翅目の幼虫に見える。巣の中には他に獲物はなく、閉じられていない巣。この状況から推察するに、この種ではメスが幼虫の成長に合わせて餌を運ぶ、つまり育児をするのだと思う。だから巣を出入り口にはほぼ常にメスがいて、巣を守っているのだ。幼虫の獲物を狩りに行く時と自分の食事以外は外出しないのだろうと思う。日本のエントツドロバチを含むほとんどのカリバチは、幼虫に十分な餌を狩ってくると、巣を閉じてしまいその後の面倒はみない。このような子育てをするカリバチは、ハナダカバチ以外に私は知らない。

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もう一つ、部屋が三つある巣を開けてみたところ、外に通じているのは一部屋だけであとは閉じている。外に通じている部屋は空(上の写真右の部屋)、閉じている部屋の一つは中で何かが死んでいて、もう一つにはハチの前蛹が入っていた。この前蛹がオオツノドロバチのものとすると、幼虫が十分な養分を摂取し、前蛹になると母バチは巣を閉じて次の巣を造りはじめるということなのだろう。ただし、巣の作成過程を追って観察したわけではないのでこの辺は不確か。たとえばスズバチの巣の横にオオツノドロバチが巣を造りはじめた可能性だってある。

さて、幼虫の餌は何であろうか、巣に入っていた幼虫は食事中であったが、既にかなり食べた後なので、どのような獲物であったのかよく分からない。獲物を運んでくるところを待ちかまえたが、巣から出入りする雌がいても獲物を持っていない(少なくともそう見える)場合が多く、獲物の写真は撮れなかった。幼虫の成長に合わせて獲物を運ぶのだから、他のカリバチのようにどんどん獲物を運ぶわけではないのだろう。

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オスの行動を見ていると、巣から巣に飛び回っているが、時に特定の巣に滞在し、巣を守るような行動をとることがある。恐らくそのような巣の中にはメスの蛹があるのではないかと思うが、その点は確認できていない。この巣はホテルの食堂内にあったので、頻繁に観察したが、オス同士の喧嘩も見れていない。一つ大きな後悔がある、このオスが拘っている巣、中をあけてみても良かったのだけど、メスがまだ出入りしているのだから、蛹はないだろうと思ったし、幼虫が前蛹・蛹になったら巣を閉じてメスは別の巣を造りはじめるのだろうと勝手に考えていた。でももしかしたら幼虫が蛹になっても巣を閉じず、羽化するまで母バチは守り続けるのかもしれない。だとしたらさらに面白い。短期旅行なのだから、遠慮せずにあけてしまえば良かった。と後悔しても、巣は何千キロの彼方だ。

3度目のタイ(シロアリの行列)

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タイの森を歩いていると、シロアリの行列に頻繁に出会う。「え?白くないじゃん!」はいはい、その通り、タイで昼間に出会うシロアリは白くない。昼間活動するから、紫外線から身体を守るためか、カモフラージュのために色が付いているのだと思う。体格から明確に2タイプに分けられ、身体が大きいものは頭部が特に大きく、大顎が発達している。こいつらは兵隊アリで、行列に近づくものを攻撃する。撮影していても油断するとこいつに噛まれる。毒はないようだし、それほど痛くないのだけど、私の虫の目レンズは先端部近くにテフロンテープを巻き付けてあって、それがボロボロになってしまった。

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オオズアリも体格が明確に分かれていて、大型タイプは大顎が発達していて、巣を守るのかな、と期待させるけど、行動を見ると小型タイプと明確な差があるようには思えず、荷物を運んだりもしている。そして巣を刺激すると大型・小型に関わらず攻撃してくる。シロアリの場合は、行動にはっきりとした違いがあり、大型タイプは行列の少し外をゆっくりと徘徊し、行列に近づくものがあれば真っ先に飛びかかる。小型タイプは行列に近づくものがあってもあまり反応しない。

シロアリは、特にタイのシロアリのように色が付いているとアリに良く似ているし、行動もにているが、アリとは違う仲間で、ゴキブリやカマキリに近縁。一方、アリはハチに近縁で、ハチのように毒針を持つアリもいる。

それでは、アリとシロアリが出会うとどうなるのだろうか、牛やんによると、ほとんどの場合、アリが勝つのだそうだ。シロアリをよく見ると、頭部は硬そうだが、足は柔らかそうに見える。一方アリは全身固そうに見えるし、アリの蟻酸は強力だ。そもそも、アリは他の昆虫を襲って捕食することも多いが、シロアリは木を食べるのだから、身を守る以外の戦いをしない。ホ乳類に例えるなら、アリがハイエナで、シロアリがヤギだろうか、うーん、そう考えるとシロアリが勝てないのも納得だな。

3度目のタイ(艶やかな虫達)

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日本にも派手な虫は多いけれど、タイの虫の派手さはまた格別だ。今回はそんな虫達を紹介しよう。まずはジンガサハムシの仲間。日本にも金メッキを施したジンガサハムシがいるけど、タイのジンガサハムシはそれを越える派手さ、そして大きい。ジンガサハムシとはその形態がまるで陣笠をかぶっているようだから。上の写真では眼が見えないが・・・

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頭部は陣笠の下にあり、眼は結構大きくて、どこかディズニーキャラクターを連想させる。陣笠の縁の部分は透明になっているから、陣笠を通して上部を見ることもある程度可能なのだろうと思う。

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こちらはピンク色のジンガサハムシ。ストロボで撮影したら茶色っぽく写ってしまったのがちょっと残念。

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こちらはモモブトハムシの仲間。モモブトハムシは最近日本にも侵入していて問題となっているが同じ種類だろうか。全身青緑のメタリックでとても綺麗。

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こちらはタマムシの仲間。角度によって、またストロボ光あるなしでかなり色合いが違う。先ほどのハムシもそうだが、光沢のある昆虫の色を綺麗に出すのはとても難しい。なるべく綺麗に写すのだけど、こんなこといっては元も子もないが、なんだかんだ言って実物にはかなわないので、是非タイに行ってご自分の眼で見ていただきたい。

こちらはテングビワハゴロモの仲間。この産地では発生していたと思われる木が枯れて、以来数が激減しているそうだけど、なんとか一匹だけみつけた。虫の目レンズでも撮影したかったけど、このあとピョーンと木の高いところに逃げてしまった。初めてタイに来た時に緑色タイプのテングビワハゴロモは見ていて、是非赤色タイプもみたいと思っていたのでとても嬉しい。

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次は蝶の仲間から。蝶には鮮やかな種が多くて、挙げたらキリがないのだけど、初めて見たこの蝶は特に綺麗。ホテルの庭で早朝にテリトリー争いをしていた。こういう水色は大好きだ。日本にもこのような水色を持つ昆虫がいる。タイも日本も水が豊かな国だが、まるで水が昆虫に溶け込んだかのような色だ。南仏にはこのような色彩の虫はいなくて、どこか乾燥したいろをしている。それはそれでまた良さがあるのだけど、日本やタイでこのような色彩の昆虫を見るたびに、あー水の国だなぁと思ってしまうのである。

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もう一種蝶の仲間から、スソビキアゲハ。こいつはとても小さなかわいい蝶で、敏捷に飛び回る。今までちゃんと写真に撮れたことはなかったので嬉しい。吸水をしていて、頻繁におしっこをする。その様子は動画に撮ったので機会を見て紹介しよう。

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こちらはヨロイバエの仲間。甲虫に見えるかもしれないが、ハエ。恐らくハムシに擬態しているのだと思う。一見翅の様に見える部分は小楯板が発達したもので、本物の翅はその下にある。こんななりをしていて、飛ぶのは結構得意。

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最後は昆虫ではないけれど、ハエトリグモの仲間。肉眼で見ると、青い部分に光沢があるように見えてもっと綺麗なのだけど、写真ではうまく再現されない。難しいなぁ。こいつもとても綺麗なクモなので、是非タイで実物を見ていただきたい。

綺麗な虫を数種紹介しようと思ったら、随分長くなってしまった(笑)。まだまだ綺麗な虫はいるけれど、それはまた別の機会に紹介しよう。

3度目のタイ(面白い巣を造るハチ)

面白い昆虫が集まるという牛やんお気に入りのフィールドを歩いていたら、こんなものを見つけた。ヤママユ系の蛾の空繭かな、と一度は通り過ぎたのだけど、牛やんが、ハチが出入りしていたという。蛾の空繭の中にハチが巣を造ることもあるだろうから、そんなケースだろうと思っていたけど、中が見てみたいので、あけてみることにした。

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するとどうだろう、繊維質にみえた外壁はとても脆く、下半分が取れてしまった。中を見ると、アシナガバチの巣に似た巣ができている。中には幼虫と卵が。育児室の隔壁と外壁の質感は似ているので、空繭にみえた部分も含めて、全てハチが作ったものらしい。面白い巣を造るハチがいるなぁ。と思っていると、母バチが戻ってきた。

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巣はアシナガバチやスズメバチを連想させるが、ハチの身体はスズバチを連想させる。撮影した時には気づかなかったのだけど、口に何かくわえている。何かはよく分からないが、クモだろうか。アシナガバチやスズメバチは獲物を肉団子状にしてから巣に持ち帰るのだと思うけど、こいつは獲物をそのまま持ち帰るらしい。獲物は死んでいるのだろうか、それともカリバチがよくやるように、麻酔だけかけられているのだろうか。撮影した時に気づいていれば取り上げて確認したのだけどなぁ。

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獲物をくわえていない時の写真。美しいハチだなぁ。このハチ自体は、前日も目にしていて、美しいハチだと思ったものの、すぐに逃げられて撮影できないでいた。その時はてっきりカリバチの仲間と思っていた。

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巣は壊れてしまったけれど、一応もとの場所に戻しておいた。巣を修復して営巣を継続してくれると良いなぁ。そしたら牛やんが観察を続けられる。今後子供達が羽化したら、アシナガバチやスズメバチのように社会を形成するのだろうか、それともまたそれぞれに新しい巣を造るのだろうか。今後この巣はさらに拡大するのだろうか、それとも、一部のスズメバチのように、こいつは初期の巣で、仲間が増えたら別の場所にもっと大きな巣を造るのだろうか。興味は尽きない。

3度目のタイ(クワガタ)

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私は昆虫全般に興味があるが、生態が面白い昆虫に特に興味があり、形態にはさほど興味がないし、レア種にもあまり興味がない。割と見つけやすい昆虫をじっくりと観察する方が好きだ。それでも綺麗な昆虫やカッコよい昆虫を見れば興奮するし心が踊る。特にクワガタやカブトムシは別格だ、いわゆる”男の子心をくすぐる”ってやつだ。さて、牛やんが”ギラファの木”と呼ぶ木を見に行ってきた。この木はクワガタにとって相当魅力的らしく、シーズン中にはほぼ間違いなく複数のクワガタが見られるそうだ。中でも非常に大型のギラファノコギリクワガタが多いからギラファの木と名付けられたわけだ。

いつもなら牛やんの四駆でギラファの木に横付けできるのだけど、この日は前日までの大雨で、途中の端が損壊していて車が通れない。何とか人間だけなら渡れそうだが、それもいつ崩れてもおかしくない。コンクリートは完全に割れているので、中の鉄筋が頼り。文字通り、”危ない橋”だ。

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しかしこの橋を渡らなければギラファには出会えない、恐る恐る橋を渡った(上の写真は橋を渡る筆者)。その後はのんびりとした農道を30分ほどハイキング、天気も良くてなかなか良いハイキングだった。そして到着するや否や、複数のクワガタが眼に飛び込んでくる!クワガタなどの昆虫を単に採集したいのであれば、ライトトラップなどのトラップを使うのが効率的だ。しかし、ライトトラップでは、その昆虫の生態はほとんど分からない。ギラファの木の素晴らしいところは、クワガタの日常を観察できるところだ。

目の高さにメスを守る大型のギラファノコギリクワガタのオス。


メスを守るヒラタクワガタ。


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少し高いところに樹液を舐めるオニツヤクガワタ。


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そして、高いところにいるクワガタを落としてみたら、また別の種類のクワガタ、フタマタクワガタの仲間だ。このあたりにはフタマタクワガタの記録がないそうで、これは大発見。正確な種名などは、今後牛やんのブログで発表されるでしょう。んーー危ない橋渡った甲斐があったなぁ!

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最後に、ギラファの木で見つけたわけではないが、モウホツヤクワガタ、こいつは宿泊していたホテルの灯に飛んできた。アゴは大きくはないが、身体は大きく、重量感があってカッコよい。

3度目のタイ(ミツバチ)

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タイ東部の山を牛やんと歩いていたら、牛やんがアダンの茂みの中にハチの塊を見つけた。日本のミツバチよりもかなり小さくて、体長は半分ほどしかないかもしれない。最初は分封蜂球かと思ったが、どうも様子が違う。

ハチをどけてみると、中には蜜をたっぷり蓄えた巣が出てきた。日本のミツバチは、木のウロや養蜂箱などの比較的閉じられた空間に営巣する。それはもちろん敵から巣を守るため。しかし小笠原など、ミツバチの天敵であるオオスズメバチのいない地域では、日本でも剥き出しの巣を見ることができるのだという。話しには聞いていたが、剥き出しのミツバチの巣を見るのは初めてで感激。クロコミツバチ(Apis andreniformis)かな、と思う。コミツバチの仲間はこのように巣板は一枚だけの巣を造るのだという。だから、養蜂で蜜を集めるには効率が悪くて適さないのだとか。しかし、写真を見ていただきたい、なんとも美味しそうだ。是非食べてみたかったが、ここは牛やんの観察フィールド、巣を残しておけば、今後も牛やんが継続観察できる。ぐっと我慢した。でも美味しそうだなぁ・・・クマがハチミツを食べるのも分かる気がする。タイにもクマが生息しており、しばしば高い木の上にいる姿が見られるのだという。その理由は、木の上のミツバチの巣から蜜をせしめているからなのだという。あーーー、やっぱり食べたかったなーーーー

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そんな邪な私の心を感じ取ったのか、それまで巣から追われても我々を刺すことのなかったハチについに刺された。ミツバチの仲間は毒針をさし込むと、毒腺と供に針を敵の皮膚に残していく。毒腺は活動を続け、敵の体内に毒を注入し続ける。もちろんハチの代償も大きく、毒腺を失った個体は死んでしまう。蜂に刺されるのは初めてではないが、皮膚に残った毒腺を撮影したことはなかった。これは良い機会と思い、撮影しておいた。コミツバチなので毒腺もとても小さく、かつ刺されたのが右手の人さし指だったので、撮影は難しかったが、なんとかピントのあった写真を撮ることができた。毒腺は元気に動いていた。刺された箇所は、数日間腫れて、一週間ほど痛がゆさが続いたが、その後はなんともない。

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より大型のミツバチの分封蜂球も見つけた。オオミツバチ(Apis dorsata)かな。こちらは分封で間違いないだろう。高い木の上だったので近くで観察することはできなかった。分封蜂球も間近で観察してみたいものだ。

コミツバチの蜜は食べ損なったが、タイのハチミツはとても美味しい。お土産に4本買って帰った。パンに塗って食べるのが楽しみだ。コミツバチの蜜もいつかは食べてみたい。

3度目のタイ(シュモクバエ)

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一年ぶりの更新となってしまった。ツイッターやフェイスブックの方が気軽に発信できるので、ついついブログはおろそかになりがちだが、個人的には情報の蓄積には価値があると信じているので、ほそぼそとでも続けていきたい。ツイッターやフェイスブックはあまりにも刹那的だ。私にとって、最高に価値のあるメディアは紙の本。今後インターネットがどのように発展していくのか分からないし、紙媒体が衰退しつつあるのは知っている。ただ今のところ、例えば100年後の人類にメッセージを送ることができる、と思える媒体は本だけなのだ。

さて、2015年の表紙を飾るのは、じゃーん!上の写真のシュモクバエ。ちょっと地味かな。今月訪ねたタイ東部で撮影したもの。シュモクバエを見るのは初めてのことで、見られてとても嬉しかった。このあたりではシュモクバエは、通年見られるそうだが、季節によって行動パターンは違うかもしれない。それほど長時間・期間観察したわけではないが、この時期の行動パターンとしては、休む時には上の写真のような細い茎が入り組んだ薮に潜んでおり、活動する時にはバナナやオオバギなど大きな葉の上で活動するようだ(下の写真)。

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大きな葉の上にいる時には、葉の上の甘露をなめたり、シュモクバエ同士で追いかけっこをしているように見える。時折向き合って、前脚を上げ、翅をひろげるが、これがオス同士の喧嘩なのか、求愛行動なのか分からない。ただ、一枚の葉の上に5-6匹の個体がいて、明確に目の幅が広い個体が一匹だけいた。推測だが、この葉の上にいたのは、その固体以外全てメスで、いわゆるハーレムを形成していたのではないだろうか。うーん、もっと継続して、じっくりと観察したいなあ・・・

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一枚目の写真の個体ほどではないが、この葉の上では最も目が離れていた個体。

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目があまり離れていない個体。メスなのかな?

シュモクバエの世界では、オスは眼が離れているほど上位になり、オス同士の争いは眼の幅で決まるらしい。当然眼の離れたオスがメスを獲得するチャンスが増えるわけだ。私は人間としては眼が離れている方で、平均的な眼の幅よりも1センチほど幅が広い。両目で見る顕微鏡などは接眼レンズをほぼ最大に広げないと両目で見れないほどだ。つまり、シュモクバエの世界なら、イケメン・モテモテだったはずなのだ(笑)。

”シュモク”とは撞木と書き、鐘などを打ち鳴らすT字型の棒のこと。シュモクという名前のつく生き物というと、シュモクバエ以外に連想するのがシュモクザメ。実は今年は8月にシュモクザメの群れも見ている。こちらについても後日紹介しよう。

昆虫の観察のためにタイを訪れたのはこれで3回目。毎回牛やんにお世話になっている。今回もすっかりお世話になってしまった。牛やんがいなければこれほど効率良く多種多様な昆虫を観察・撮影することは無理だった。本当に感謝している、牛やん、ありがとう!

マメザトウムシ

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週末にジークさんに案内していただいて、spaticaさんとマメザトウムシを見てきた。マメザトウムシの前にザトウムシのお話。ザトウムシは8本の足をもち、クモに似ていて、確かにクモに近い仲間なのだけど、糸で巣をつくることはなく、地上・樹上を徘徊する。長い足を使って前を探るように歩く姿からザトウムシの名前がついたそうだが、眼はある。ただし、通常は体に比して小さく、体の真ん中あたりに申し訳程度に乗っかっている。

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ところがマメザトウムシではこの通り、体に比して大きな眼がギョロリ!まるで宇宙人みたい(宇宙人見たことないけどw)!ただし、この特殊な形態を肉眼で楽しむのは、特に年寄りには難しい。マメザトウムシとは、”小さな”ザトウムシ、ということなのだろうが、豆よりもずっと小さいのだから、その命名が正しいかは疑問。

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マメザトウムシの生態にはまだまだ不明な点が多く、飼育も難しいらしい。

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口器にはトゲがあり、生きている小動物を捕食していることが伺える。脚を失っている個体も多かった。これは他のザトウムシも同様。

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TG-3でも被写界深度合成も試してみた。暗かったので、LEDを使って撮影したけれど、光量が低く、撮影は難しい。しかしコンデジ単体でマメザトウムシをこの大きさに写せるのは素晴らしい。もっと大きく写すことも可能だ。ノートリ

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ちなみに、これは被写界深度合成前の一枚、深度合成の効果がよく分かる。

TG-3で深度合成(ハエトリグモの仲間)

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ある生き物を飼育しようと思い、フィールドを歩いた。メインの撮影機材も車には積んできたけど、採集がメインだったので、TG-3だけを腰にさげて歩いた。途中ハエトリグモがいたので、深度合成モードで撮影してみた。半分ぐらいにトリミングしてあるが、コンデジ単体でこんなに簡単にハエトリグモが撮れるのは素晴らしい。そして、ハエトリグモを大きく移そうと拡大撮影すると被写界深度は浅くなってしまうのだけど、深度合成モードで撮ればこのとおり、ほぼ体全体がシャープに写る。デーニッツハエトリかな。

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参考までに、深度合成モードの最初の一枚。眼にピントはあっているけど、尾部はぼけている。深度合成モードでは8枚自動で撮影して合成するので、動いているものでは使えないのだけど、クモや昆虫は、動くと速いが、止まるとピタリと動かないというものが多い。また、風さえ強くなければ、手持ちでも成功することが多い。




TG-3を海に沈める

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TG-3をハウジングに入れて海に沈めてみた。TG-3は単体でも15メートルまで潜れるが、ダイビングで使うにはハウジングが必要となる。今回はTG−3をハウジングに入れただけ、そして魚露目と組み合わせて撮影してみた。上のはハダカハオコゼのあくび(?)。水中マクロモードにして、少し広角側にして撮影した。ライティングはもう少しなんとかしたいところだが、こういう撮影はTG-3の得意分野だろうと思う。感度を上げると絵が荒れるので、ISO200に固定してさつえいしたけれど、沖縄の明るい海なら問題ない。

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今度は水中ワイドモード、設定時にストロボ強制発光になってしまうのはなんとかしてほしい。内蔵ストロボだとどうしても浮遊物が光ってしまうから、ストロボ無しで使いたいケースも多い。オフにすれば良いのだけど、一手間増えてしまう。上の写真はストロボを使用して比較的良かった一枚。

さて、TG-3が最も得意とするマクロ撮影。ナマコカクレエビ。半分程度にトリミングしてあるけれど、問題なく撮影できる。もちろん、もっと大きく撮ることも可能な筈だ。

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こちらはイソギンチャクカクレエビ、やはり半分程度にトリミングしてある。

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こちらはオトヒメエビ、このぐらいの大きさのエビならどんなデジカメでも撮れるだろう。もちろんTG-3でも問題ない。TG-3を陸上で使っていて思っていたのだけど、水中では特に気になったのが、モード変更時のストロボ発光について。顕微鏡モードはストロボオフがデフォルトで、水中ワイド・マクロモードはストロボオンがデフォルト、モードを変更するたびにデフォルト設定になってしまうので、例えば顕微鏡モードでストロボを使いたければ、ストロボをオンにする必要がある。水中ワイドでストロボをオフにする場合も同様。これは非常に使いにくい。陸上でも使いにくいけれど、水中では特に使いにくい。これは本当に何とかして欲しい所。そしてもう一点、通常モードは10cmから∞、顕微鏡モードでは1cmから10cmまでピントがあうのだけど、その10cm付近で撮影したい場合というのが非常に多い。例えば、通常モードで寄っていって、もっと寄りたいという時に顕微鏡モードに変更、ストロボを使っていた場合、ストロボを再度オンにする必要がある。逆もまた然り。顕微鏡モードでも50cm程度まではピントがあうようにしていて欲しい。

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そして魚露目との組み合わせ、今回は魚露目自体を防水加工して装着しただけで、ストロボも使用していない。上の写真はシュノーケリングで撮影したもの。これを見ると悪くない。

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が、やはり本体を防水加工したためか、周辺部の画質の低下が顕著だ。上の写真で超解像ズームを少し使ったあたり。もっとズームすれば画質の荒れた部分を排除できると思うけれど、そうすると画角が狭くなってしまう。やはりガラスドームをつかったシステムを作りたいところ。ストロボも使えるようにしたいな。




© I. Suzuki 2011